ヅプ・・・チャチッ。冷たい金属球が、白雪の尻穴に埋め込まれてゆく。数々の試練を乗り越えてきたその肉穴は、容易く直径110mm・重さ7.26kgの鋼球を飲み込んだ。四つん這いになって尻からグリップワイヤーを垂らす白雪は、まるで散歩を懇願する飼犬・・・その姿が、兄妹の1年間の関係を象徴していた。「白雪・・・俺をもっと高みへ連れて行ってくれ」グリップを握る投てき者。2回、3回とハンマーを回す度、尻穴を強く絞ってゆく白雪。今日だけは、今日だけは緩めてはならぬ。兄の栄光のために。ヴォオン!高速で投げ出される白雪。背に兄の雄叫びを受け、アテネの空を飛ぶ。鋼球が腸内で暴れ回り、肉壁を叩きつける。その時だった。「あどりあーん!国民の期待、出ちゃうでぃすの―っ!」グボオォンッ!ゾゴリョッポ―ン!!白ケツから勢いよく発射さる鋼球。さらに!「これでとどめでぃすの―っ!」グボオォンッ!ブリョブリョブリョ―ッ!!球を後押しする、無数の金槌がひり出される。これぞ正にハンマー兄妹(ブロス)。「83m19!」歓声に包まれる五輪スタジアム。やったア、金メダルだ!抱き合う白雪とアヌス(ハンガリー)。肩を落とす室伏(日本)を慰める妹・由佳。兄妹愛に、国境は無いのだ。